クラに土地を購入したもののどこから手をつけて
よいかわからない荒れた雑木林。
とりあえず、更地にしなければ農業どころではありません。

ブルドーザーを入れてもらうとあっという間に土が一面に広がって見えました。
夫は早速レンタルしてきた耕運機で土地を耕し始めました。
カタカタ ガがガ-ッ!何度もこの音のくり返し。
大小さまざまな石が耕運機に当たって行く手を拒みました。
耕す前に石を退けるのが先決。

明けても暮れても石を手押し車にのせて敷地の脇に寄せる作業ばかり。
二人では埒が明かずマウイに家族や親戚がいない私たちは
日本から助けを呼ぶことにしました。
私の弟はアップライトピアノを一人で運ぶくらいの怪力の持ち主でした。
最も強く頼りになる弟は電話一本ではるばるマウイに石運びのために
やって来てくれました。
弟が来てくれてからは石取りのスピードもずいぶんと速くなりましたが
それでもキリがないほどの石の数。
『昨日すっかり取ってなくなったのに今日行くと石が子供を産んでいた。』
『夢の中でも石がいっぱい。』
毎日、繰り返される会話でした。


石取り労働でヘトヘトになりながらも考えなければいけない事は山積みでした。
まずは家を建てること。
限られた予算の中で一番大きな割合を占めます。

夫が自分で家を建てると言い出しました。
フレームや外壁、電気配線などはプロに頼み
内装やペンキ塗りなど自分でやれば建築費用は半分で済むとの事。
仕事も収入もない今、なるべくお金を節約しなければいけません。
農業が順調にいって収入を得られるまでどのくらいかかるのかしら、と
不安になっていた私。

あっ!逆の発想をすればいいんじゃない?
夫が大工さんとなって稼いでると思えば。
ヤル気満々の夫は知人、友人に片っ端から相談に行き
私たちの手作りの家はだんだんと現実に近づいて来ました。