年が明けて新年早々の私たちの新居は
コンクリートの打ちっぱなしのガレージ奥の農作業部屋でした。
床にベニヤ板を置きカーペットの下敷きになるパッドを敷き詰め
昼間はダイニング兼リビング、夜は寝室になる一間暮らし。
明かりは天井からぶら下がった裸電球がひとつ。
写真で見た戦後間もない日本の家庭の一コマのようでした。
朝は川の字に敷いた布団をたたみ子供たちの小さなお絵かきテーブルで食事。
料理はBBQのコンロで、結構それひとつでバラエティ豊かな
食事ができました。

農作業を終えて子供を寝かしつけたあとにはペンキ塗りが待っていました。
一日でも早くまともな家にするためには室内のペンキを塗る事が
先決でした。
夫とおしゃべりすることもなく黙々と深夜までひたすらブラシを動かしました。
天井に夢中になっていると後が大変。首がまっすぐにできず暫くは
筋肉痛に耐えなければいけませんでした。

睡眠以外は肉体労働の一日でしたが
もう長い道のりをかけてキヘイまで往復しないでいいのが
精神的に楽でした。

雨季が終わり春一番の強い風が吹く頃、ようやく昭和初期の生活もおしまいになり
本当の新居が完成しました。
この家が完成するまでにどれだけの人々に支えられ、お世話になったことでしょう。
感謝の気持ちをこめて畑で採れた野菜でおもてなしをすることにしました。
一番心配していた私の両親も日本からやって来ました。
50人ものお客さんに両親はAloha Spiritがどういうものなのかを理解し
日本人が忘れかけている人情が残るこの島の人々に感心していました。

クリスチャンでもない私たちに何かと気遣ってくれた牧師先生がお祈りをしてくれました。
「この家によい風が吹きますように。」