アメリカと日本の医療の決定的な違いは救急車に対する考えです。
最近、日本では緊急を要さない病気で救急車を簡単に呼ぶことが
問題となっています。
「本当に必要かよく考えてから。」をネットでもよく目にします。
まったく逆のコマーシャルがアメリカのテレビで見ることができます。
「ためらわないで、911しましょう。」
医療費が高いのはもちろんそれに付随する救急車も同じです。
救急車がサイレンを鳴らして走れば5分とかからない距離ですと
日本ーサンフランシスコ間のエコノミークラスの飛行機代とほぼ同額が請求されます。


昨年12月のクリスマス前のことでした。
私の店に私と同年代の女性がやってきました。
様子からアメリカに来てまだ間もない感じだったので
ご旅行ですかという問いかけに
「娘が亡くなったので迎えにきました。」と。
居合わせた夫も返す言葉がみつかりません。
小柄なその女性がいっそう小さくそして痛々しく感じられました。

後日、亡くなられた娘さんは学校の卒業を目前にひかえた留学生だったと知りました。
彼女は以前に体調が悪くなり救急車で運ばれたことがありました。
その時、莫大な医療費を請求されたそうです。
12月に入り体調を崩していた彼女は友人によってアパートの部屋で
ひっそり亡くなっているのを発見されました。
卒業後の夢と希望を持つ23歳でした。

小高い丘の上に立ちカリフォルニア一の最新医療を誇る
カリフォルニア大学サンフランシスコ医大付属病院。
私の店からそして彼女の住んでいたアパートからもきっと見えたはず。
こんないい病院が目の前にありながら治療を受けられずに亡くなって
無念だったと思います。
アメリカ中で彼女のような医療にまつわる悲しい出来事が毎日
起こっていると思います。
オバマ大統領は保険制度を変えると言っていますが
尊い人間の命、なによりも優先させてそして実現させてほしいものです。
合掌。